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夫の話。 長く呪いが残る村から、1993年に単身出て行った男。最近、村に戻ってきて、呪いの源を調べはじめる。村人はみな、男の調査を妨害する。なかば拉致して家に閉じ込め、詰め寄る村人。男が必死で逃げ出そうとしたとき、階段の下に、黒い服を着て立っている赤ん坊がいる! 男は叫ぶ。 「お前なのか!!」 …と叫んだところで、嫁に起こされる。 「お前なのか!!」が「オレガノ!!」に聞こえた嫁は、え〜なになにぃ〜新しいレシピを思いついたのぉ〜とからかう。 嫁の話。 かつて独身のときに住んでいた狭い部屋にいる。そこに、のちに夫となる男がやってくる。男はなぜか、ドアの外にある物干し竿をはずそうとする。文句を言うと、え、洗濯物干すときにまた竿を置けばいいじゃん、と暢気に言う。突然キレまくるわたくし。 「ふっっざけんじゃねえよ!!」 …起きたときは、妙な苛立ちだけが残っていた。朝から。 ものすごく、ちゃんと、ふっっざけんじゃねえよ!!って言ってた、と夫。何があった?と問う。 なんか、すんませんでした…と謝罪する嫁。朝から。 庭でとれた梅を干す。夕暮れの風にのって、ほのかに香る。 #
by tetsuyome
| 2021-06-09 19:29
| 身辺雑記
十数年ほど前、夫とつきあい始めたころの話である。
深夜のプロレス番組を、夫は興味薄い風を装いながらもチャンネルは変えるなよ的圧力を示しつつ、つまりは熱心に観ているので、わたしもなんとなく映るものを観ていた。 で、とくに深い考えもなく不思議に思ったことを聞いてみたのだった。 「これ、ロープに振られたら戻ってこなくちゃいけないの? 戻ってくるからたいへんな目にあうのでは」 すると夫は、テレビから目を離し、まっすぐわたしの目を見て言った。 「これはルールだから」 「はあ…」 「ロープに振ったら戻ってくる。相手の技は受ける。そこに疑問をもつな。すべてを受け入れろ」 「あ、はい…」 「肉体を使った即興芸術だから」 説教だか演説だかが続く。めんどくせえな、と思った。聞かなくてもいいことを聞いてしまったな、と。 でもなぜだかその後、まずは三沢を好きになり、東京ドームに行き、後楽園ホールに通い、好みの紆余曲折を経て現在はデスマッチが大好きだ。葛西純は神である。 プロレスは長く追えば追うほど味が出る。そういった意味では根底にノスタルジーがある。わたしは、たかだか十数年しか観ていないし、技の名前も、選手の思想も、熱く追い続けているわけではない。だから、すごく浅い観客だ。 昨日発売の『Number』で、柳沢健さんの「1984年のUWF」という連載が始まった。冒頭部分に、わたしがかつて不思議に思った「ロープに振られたら問題」が書かれていて、思わず読み進めてしまった。UWFといえば、夫が最も熱く語り始める分野である。ふざけて「Uのポーズ〜」と茶化したりするとローキックが飛んでくる。めんどくさい。それなのにまた、うっかり聞いてしまった。朝ごはん時に。 「真剣勝負かどうかっていうのは、そんなに重要なことなのかね?」 以降、また説教だか演説だかが続くわけだが、とりあえず、結論としては、柳沢さんの連載を読み続ければいいんだと思う。 来週、12月25日は後楽園ホールに葛西純プロデュース興行を観に行く。楽しみだ。 真っ赤なサンタさんがやってくる。 メリーブラッドクリスマス。 #
by tetsuyome
| 2015-12-18 19:17
| 身辺雑記
母タマキがタブレットを使うようになって、この頃ようやくスムーズにメールのやりとりができるようになった。
まだ慣れないということもあるやもだが、メールのやりとりは電話よりちょっとぎこちない。電話だと「あんた、宇宙から見れば人間なんてゴミみたいなもんよ」と勢いよく娘を励ましてくれるが、メールだと、短文で、ですます調で、一歩引いた感じになる。でもその「よそよそしさ」がかえって新鮮で発見がある。 昨日、タマキは70歳になった。 以前は花を贈ると「あんた、花よりダンゴよ」と言うので、今年は花とダンゴを贈った。インターネッツは便利である。これで文句はあるまいと身構えていたら、「本当にありがとう。幸せです。」とメールがきて、そのありきたりでド直球な言葉に思わず涙した。 母も娘も歳をとって丸くなったのかもしれない。とくに娘はこのごろ、涙もろくていけない。 #
by tetsuyome
| 2015-12-04 17:32
| 身辺雑記
先日、髪を切って赤く染めた。
そのとき、かれこれ8年ほどお願いしている担当美容師アベが、とてもオトナな気遣いでもってそれとなく、地球を何周かしたくらいの遠回しぶりで、わたくしの白髪について言及してきた。 で、わたくしはたいそう度肝を抜かれたのである。 いや、己の老いを自覚していないとか、そういう逃げ腰の姿勢からではない。恥ずかしながら、わたくしの頭髪の問題は白髪よりも薄毛にあると認識していた。 白髪の束より、抜け髪の束に注目していた。 そして、世間では、薄毛は白髪にならないという、なんとなく都合の良い通説があるように思っていて、だから己は白髪派ではない、断じて薄毛派であると、思い込んでいたのである。 ところがここにきて、まさかタッグを組んでいたとは。 白髪と薄毛がタッグを組んで、白髪がブレーンバスターで持ち上げ、コーナー上の薄毛がそれをキャッチ、そこからのパワーボム、といった合体技が繰り広げられているらしい。 41歳の何の技もない女が勝てるわけがない。 この先の道を行けばどうなるのであろうか。 それでも微かな希望の光を血眼で探しながら、明日も生きていくしかない。 人生は続く。 #
by tetsuyome
| 2012-12-24 01:55
| 身辺雑記
液体洗剤とか柔軟剤とかボディーソープとか、液状の何かは、たいてい詰め替え用が出ていて、本体であるプラスチックの容器は捨てずに中身だけ入れ替えて使うのが、ここ数年の主流である。エコってやつだ。
そして、いつの頃からか、ドラッグストアなどで売っているのが、ほとんど詰め替え用ばかりで、本体がめったに見かけなくなっている。このことについて一言いっておきたい。 たとえば、それまではビオレだったけど、なんとなくダヴにしたい、または、同じラインナップでもそれまではシトラスグリーンの香りだったけど、ちょっと気分を変えてリッチローズの香りにしたい、と思っても、本体容器が売っていない。あまり深く考えずに、ビオレの容器にそのままダヴを入れたり、シトラスの容器にローズを入れたりすればいいじゃない、とは個人的にあまり賛成できない。かといって、古い容器をカンペキに洗浄・乾燥させるのは、なかなかな手間である。 エコというのは表向きで、一度使い始めたら、ほぼ永遠に同じメーカーを使い続けるしかないという、企業の罠であろうか。香りの違いもゆるさない的に。 というようなことを常々思っていたのだが、先週、いささかこれはと思うことがあった。 いつも使っている柔軟剤の詰め替え用を、ある日買って帰った。で、いざ詰め替えようとしたら、袋に「中身の成分が変わりました。以前のものと混ざると白く固まって使えません」と書いてある。まあまあ大きな文字で。だから気づかなかった自分の不注意を反省しながら、再度店に行って本体を探した。でもない。 「中身の成分が変わりました。以前のものと混ざると白く固まって使えません」 と注意を促し、つまりは以前の容器にそのまま入れるとヤバイっす、と言っているにも関わらず、新しい成分の本体が売っていない。以前の容器をカンペキに洗浄・乾燥させろということか。どーゆーことだ。思い余って店員さんに「この新しい成分の本体容器は売っていないのですか」と聞いたら、棚の最上段にこっそりとあった本体を指差し「あのシトラスグリーンの容器ならあります。それ以外の香りのはお取り寄せになってしまいます」と言う。 「それっておかしいよね、中身混ぜちゃだめって言ってるのに、本体売ってないって、おかしいよね。そしてたかが柔軟剤をどうしてお取り寄せしなきゃいけないわけ、この東京のど真ん中で」 って思ったけど、言わなかった。化粧はかろうじてしていたけど、ほぼ部屋着のままでくたくたな服着てたから。おばちゃん、その服に柔軟剤はいらないでしょ?って店員さんきっと思うと思ったから。 だから書いてみた。たかが柔軟剤のことで1100文字も。 #
by tetsuyome
| 2012-10-20 16:13
| 身辺雑記
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